冬場によく流行る感染症胃腸炎(ノロウイルス)。我が家もこの冬初めて子供と私がノロウイルスにかかりました。
一番戸惑い、あれこれ調べたのは子供の突然の嘔吐でカーペットについた嘔吐物の処理でした。結局、拭き取ったあとにスチームアイロンで熱消毒して乗り切りました。
その他にも、有効な予防方法や衣類や寝具の処理方法、二次感染で気を付けることなど、あらためて調べました。かかる前に知っておくべきだったと思うことばかりでした。今回は、かかる前に知っておきたいノロウイルスの予防や対策についてまとめました。
前回のこちらの記事では、「かかる前に知っておきたいノロウイルスの症状や治療」についてまとめています。
【ノロウイルス】どう防ぐ?嘔吐の処理は?事前に知っておきたい予防と対策
ノロウイルスは強い感染力
ヒトからヒトへの感染力はきわめて強力です。
(中略)
ノロウイルスにはワクチンもなく、その感染を防ぐことは簡単ではありません。そして特に子ども達や高齢者には簡単に感染して発病します。
ノロウイルス流行のニュースを聞く前から、子供も私もうがい手洗いをしっかりやって電車の中や幼稚園でマスクをするなど、気を付けていたつもりでしたがかかってしまいました。
やはり感染力は強いと聞いて納得です。
ノロウイルスの予防
まずは十分な手洗いを
最も有効な感染予防策は手洗いです。調理の前やトイレの後には、手をよく洗いましょう。また、普段から十分な睡眠や栄養を取り、体調を良好に保ちましょう。
ノロウイルスの感染力は、85℃1分以上の加熱で失われます。特に食品は、中心温度85~90℃で90秒以上加熱しましょう。
ノロウイルスに感染した場合、回復後も1週間、長いと1か月程度ウイルスを排出し続けることがあるため、手洗い等の感染防止策が必要です。
まずはしっかり手洗いすることが有効な予防策なんですね。そして、普段から免疫力が落ちないよう体調良く過ごすことも大事ですね。また食中毒を防ぐには十分な加熱処理も欠かせませんね。
しかも感染したあとも、しばらくはウイルスを排出し続けるとのことで注意が必要です。
手洗いの方法・ポイント
常に爪を短く切って、指輪等をはずし、石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル又はペーパータオルで拭きます。
手洗いが重要なのはわかっていたつもりでしたが、指輪を外したり、ブラシを使ってまではしていませんでした(^^;
しかも、調べていて驚いたのが、下記にあるようにウイルスは小さくて手のしわに深く入り込むとのこと。ここまで意識して丁寧に洗わないといけなかったんですね。
ノロウイルスは細菌に比べ大きさが1/30~1/100で、手のしわにより深く入り込むので、より丁寧な手洗いが求められます。手洗いは手洗い用のソープ剤等をよく泡立て使用します。普段の手洗いで洗い残しが出やすいところは、指の間、指先、つめ、親指、小指、手のひらのしわ、手首ですので、特に気をつけてください。
出典:大阪府立公衆衛生研究所
具体的な洗い方は、横浜市保健所のホームページにある手洗いの方法(PDFファイル)が写真付きでわかりやすいと思います。
嘔吐物や便の処理についての対策
次に、嘔吐物や便の処理は、どの程度どのようにやればよいか気になるところですよね。
私も子供がカーペットに嘔吐した際、とりあえず拭いた後、その後はどうするのが一番いいのかわからず戸惑いました。
処理方法
まずは下記にあるとおり、時間が経ってもウイルスが残っている可能性があるので、しっかりと処理することが必要とのことです。
12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られており、時間が経っても、患者の吐ぶつ、ふん便やそれらにより汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可能性があります。このため、これら感染源となるものは必ず処理をしましょう。
実際どのように処理すればよいのでしょうか…
処理:おう吐物や下痢便の処理をする前に、まず処理にあたる人以外の方を遠ざけてください。処理の際に吸い込むと感染してしまうおそれのある飛沫(ひまつ)が発生します。少なくとも他の人は3mは遠ざかってください。また、放っておくと感染が広がりますので、早く処理する必要があります。
まずは処理する人以外は遠ざける。そして、処理は手早く行う必要があるんですね。
具体的には…
床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等(市販される凝固剤等を使用することも可能)で静かに拭き取ります。拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。
おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。(この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約1,000ppm)を入れることが望ましい。)
また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。(中略)
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
おおまかな流れとしては、
★完全防備で拭き取ったあと、
→次亜塩素酸ナトリウムで消毒しその後水拭き
→嘔吐物や拭き取ったペーパーなどは密閉して廃棄
→乾燥しないうちに速やかに処理し、
→十分に喚気も行う
ということですね。
が、慣れていないとかなりハードルの高い処理方法ですね(^^;
それに「次亜塩素酸ナトリウムって?」「塩素濃度約200ppm、1,000ppmって?」「作り方は?」って私のように思う方も多いと思います。
次亜塩素酸ナトリウムは、市販の家庭用塩素系漂白剤(ハイターやブリーチなど)で代用可能のようです。(ワイドハイターは酵素系漂白剤のため使えないです。)
もっとわかりやすく知りたい
横浜市保健所のホームページの「嘔吐物の処理、消毒方法」(PDFファイル)には、
・嘔吐物の処理が写真付きでわかりやすく、
・1.5リットルのペットボトルを使った、市販の家庭用塩素系漂白剤で作る消毒液の作り方も載っている
ので、参考にしやすいと思いました。
衣類や布団・カーペットなどの処理方法
衣類や寝具などが汚れる可能性も高く、これらの処理も知っておきたいですね。
汚れた衣類など:おう吐物や下痢便などで汚れた衣類は大きな感染源です。そのまま洗濯機で他の衣類と一緒に洗うと、洗濯槽内にノロウイルスが付着するだけではなく、他の衣類にもウイルスが付着してしまいます。
まずは、汚れた衣類などは洗濯機でいきなり洗わずに、別洗いすることが重要なんですね。
そして、具体的な洗い方は下記が参考になります。
<洗濯の仕方>
- 使い捨てのマスクやエプロン、手袋などを着用します。
- 衣類に付着した汚物が飛び散らないように取り除き、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。(下洗いしないと消毒の効果が低下します。)
- 下洗いした後、衣類が完全に浸る量の塩素消毒液(200ppm)に30分以上浸漬します。
- 消毒後は、十分にすすぎ、高温の乾燥機を使用すると殺菌効果が高まります。(消毒後の衣類は、他のものと別に洗濯機で洗う事ができます。)
- 下洗いした場所は、塩素消毒液(200ppm)に浸したペーパータオルやボロキレで浸すようにふき取り、その後洗剤を使って掃除をします。
- 拭き取った汚物や手袋、エプロン、マスクは、ビニール袋に密閉して廃棄します。
- 終わったら、ていねいに手を洗います。
出典:東松山市 ノロウイルス
バケツや洗面台など下洗いした場所も忘れずに消毒する必要があるんですね。
そうすると、バケツを使ったりお風呂場で流したりするよりも、洗面台だけで処理したほうが消毒場所が少なくて済みそうですね。
状況が許せば「洗面台で下洗い後そのまま洗面台で浸け置きして、すすぎ」がいいと思いました。
洗濯できない衣類や寝具・カーペットの処理は
色落ちする衣類など塩素系漂白剤が使用できない物の場合は、良く下洗い後に、熱湯やスチームアイロンなどの蒸気(85℃以上で1分間以上)で消毒します。
カーペットや布団などすぐに洗濯ができないものの場合は、スチームアイロンや布団乾燥機などを使って、高熱にさらす。
出典:下関市ホームページ
85℃以上1分間以上の熱湯やスチームアイロンがいいんですね。布団乾燥機もあれば使えますね。
我が家もスチームアイロンでカーペットを消毒しました。下記にもありますが、やってみてスチームアイロンは簡単にできてよかったです。
熱消毒の場合は、85℃を1分以上保つ(熱湯に浸けられれば理想的だが、大型で不可能なときはスチームアイロンをあてて熱で消毒する)
※熱湯をかけるだけではすぐに温度が冷めてしまうので、アイロンの方が手軽で効果的出典:神奈川県ホームページ
濃度や時間は自己判断で
今回調べていて、用途に対して消毒液の濃度が公的機関のサイトによって異なっていることが多々ありました。
例えば床の嘔吐物を最初に拭き取った後に、再度消毒液を浸すように拭く際の塩素濃度は、
厚生労働省のホームページでは「約200ppm」ですが、横浜市のでは「1000ppm」となっています。
それ以外にもサイトによって、
・衣類に浸す消毒液の濃度が「200ppm」だったり「1000ppm」だったり。
時間についても、サイトによって異なることがあり、
・衣類の消毒時間が「30分間浸す」だったり、「30~60分間浸す」だったり。
・スチームアイロンの加熱時間が「85℃1分以上加熱」だったり、「85℃2分以上加熱」だったり。
消毒液の濃度は濃いほうが効き目が強そうですが、床や衣類の素材によっては変色の可能性などが高くなりそうですね。消毒時間や加熱時間も長めにしておけば効き目がありそうですが、素材への影響も考慮しないといけないかもしれませんね。
ちなみに、濡れ雑巾を間においてスチームアイロンをあてると、高い湿熱効果を維持したり、素材への影響を減らせる効果があるようです。(参照:ジャーナル「ノロウイルス対策としての蒸気加熱処理」 – 東京医療保健大学ホームページより)
いずれにしても、自己判断で決めるしかなさそうですね…
次亜塩素酸ナトリウムを使用する上での注意事項
ハイターなどの塩素系漂白剤を使用する際には、下記のような注意が必要です。
- 消毒効果を保つため、原液は遮光のできる場所に保管してください。
- 希釈した消毒液は、時間とともに消毒効果がなくなるので作り置きはせず、消毒時にその都度作ってください。
- 金属材質を腐食することがあるので、消毒後は速やかに水で洗うか、拭き取りしてください。
- 衣服やじゅうたん等に使用すると色落ちすることがあります。
- 使用する時は十分な換気をしましょう。酸性の洗剤等と混ぜると塩素ガスが出ることがあり危険ですので、併用しないでください。
- 皮膚荒れを起こしてしまうため、手指などの消毒には使えません。
突然の嘔吐に備えて作り置きしたいところですが、「消毒液はその都度作る」必要があるんですね(^^;
可能性があることとして、腐食や色落ち、ガスの発生なども注意しないといけないですね。フローリングの変色の可能性も考えられます。
製品の「使用上の注意」もよく読む必要がありますね。
ノロウイルスの二次感染を防ぐには
下記にあるように、お風呂やタオルについても注意が必要とのことです。
- 速やかな嘔吐物等の処理、消毒の実施をしましょう。
- 手をこまめに洗いましょう。
- トイレのドアノブなど、手で触れるところはきちんと消毒をしましょう。
- 風呂の水は毎日換えてて、浴槽や風呂の床、洗面器、椅子なども清潔に掃除しましょう。
- 下痢をしている人は、最後に入浴しましょう。
- タオルやバスタオルの共用はやめましょう。
ノロウイルスの予防と対策について調べた感想
丁寧な手洗いなら、しっかりと対策できそうだと思いました。
ただ、嘔吐や便については…
正直大変そう
大人はトイレに駆け込むことがなんとか出来ても、子供は突然嘔吐する可能性が高いです。
「その都度消毒液を作って手早く床を処理し、衣類も下洗いして消毒液に浸け…」などというのは、正直大変そうという印象でした。
嘔吐は何度もする可能性がありますし、夜中の場合もあります。ましてや自分もうつって体調が悪い時は尚更です。
塩素系漂白剤の使用も注意点も多く、なるべくなら使用を控えたいなと思いました。それならば…
スチームアイロンが使いやすそう
素材を気にしなくてよければ、床も衣類もカーペット同様、スチームアイロンが一番手っ取り早くていいと思いました。
「ノロウイルスの感染力は、85℃1分以上の加熱で失われる」とのことなので、床や衣類も嘔吐物を拭き取ったあとは、濡れタオルをあててスチームアイロンでウイルスをやっつけてしまい、その後は床を水拭きしたり衣類を水洗いして洗濯する方法が私には一番良さそうだと思いました。(もしやられる場合には、くれぐれも自己責任でお願いしますね。)
スチームアイロンをあてる場所が広範囲だと大変そうですが(^^;
なるべく使い捨てで乗り切りたい
あとは、なるべくウイルスで汚れたものを消毒したり掃除洗濯しないで済むように、使い捨てで済ませられる環境を作っておくのがよいと思いました。
例えば、
・リビングなど新聞紙やペットシーツなどを広く敷いておいて、捨てるだけで大丈夫なようにしておく
・凝固剤の入った使い捨てのエチケット袋を身近においておく
・ゴミ袋をかぶせた洗面器やバケツも身近においておき、嘔吐してもその中に吸い取り用の新聞紙や消毒液を直接入れればそのまま捨てられるようにしておく
・ベッドではなく布団で寝て、周りに新聞紙やペットシーツを敷く
・シーツの上に捨ててもいいボロバスタオルを敷いて寝る
・パジャマや衣類は捨ててもいい古着を着る
日頃から捨てずに用意しておきたいもの
・ボロ雑巾
・ボロタオル
・新聞紙
・古くなった捨ててもいいパジャマや衣類
・消毒液を作るための空のペットボトル(上述の横浜市のホームページの作り方を参考にして、2種類の濃度を作るならば、1.5リットルのペットボトル2本)
準備しておきたいもの
上記の他に、
・スーパーのビニール袋
・ごみ袋
・ペーパータオル
・使い捨てのエチケット袋、エプロン、マスク、手袋、ペットシーツ
・バケツや洗面器(衣類の下洗い用や嘔吐処理用など2つあると良さそうですね)
・ハイターなど市販の家庭用塩素系漂白剤
・スチームアイロン
漂白剤やアイロン以外は、どれも複数用意しておく必要がありそうですね。
100均ショップで手に入るものも多いですね。また、準備したものは紙袋やバケツなどにひとつにまとめておくとすぐに取り出せていいですね。
消毒液を薄めて使用する場合は、その中に先ほどご紹介した横浜市保健所のホームページの「嘔吐物の処理、消毒方法」(PDFファイル)を印刷して一緒に入れておくと慌てずに済みそうです。
市販の嘔吐物処理セットを使うの一案
自分の体調が悪い時にもすぐ使えるように、市販のセットを用意しておくのもありかもしれません。
こちらのが良さそうですが、1回使い切りでこのお値段だと購入までちょっと勇気が入ります(^^;
嘔吐物処理セット おうとキット (納期2017年1月予定)
価格:2700円(税込、送料別) (2016/12/24時点)
【追記】嘔吐物処理のイメージトレーニング
今回の我が子のように、嘔吐物で床も衣類も両方汚れる可能性が高いです。知識不足だった私はどこから手をつけようかと正直戸惑いました。カーペットの処理に手間取って、衣類はとりあえず下洗いしたものの、捨ててもいい古着だったこともあり結局廃棄を選びました。
乾燥や感染の拡大を防いで速やかに処理するためにも、次回にむけて大まかな動きをイメージトレーニングしてみました。
子供が床や寝具、衣類に嘔吐したら…
①自分以外の人を遠ざけ、自分はマスクや手袋・エプロンなど着用
②ひとまず床や寝具の嘔吐物とその周りに新聞紙をかぶせておく
③着替えさせて汚れた衣類はビニール袋に密閉しておく
④その間にまず床や寝具の処理(状況に応じて換気も行う)
⑤終わり次第、衣類の処理
子供のケアもしてあげたいですし、まずは④まで一気にやってしまいたいですね。衣類は、今回の私のように最悪廃棄することを考慮してもいいですしね。
最後に
長くなりましたが、今回調べてわかったノロウイルスの予防や対策についてまとめました。
ポイントは、
・予防→徹底した手洗い
・対策→①消毒(次亜塩素酸ナトリウムや家庭用塩素系漂白剤ハイターなど)や②加熱(熱湯、高温スチームなど)
ということを学びました。今後我が家の教訓にしたいと思います。みなさんにもご参考になることがあれば幸いです。
こちらの記事では、小児救急電話相談(#8000)が役立った話をご紹介しています。
お読み頂き、ありがとうございました。